中国発の人気AIアシスタントManusを開発するスタートアップが、Benchmarkによる7500万ドル(約116億円)のリード投資を受けた後、本社のシンガポール移転を含むグローバル再編を検討している。評価額は5億ドル(約775億円)に達し、創業者は一部投資家と共に国際事業と国内事業の完全分離について協議を進めている。背景には、米中関係の悪化に伴う中国企業への規制強化リスクがあり、特に米国市場における事業展開に影響を及ぼしている。
Manusは、旅行予約や株式分析といったタスクを自動化する能力が高く、米国開発者・投資家の間で注目を集めた。競合するOpenAIの製品に比べ、タスク完了に要する人工介入が少ない点も評価されている。しかし、米国政府がTikTokへの制裁を含む中国企業への圧力を強める中、Manusも慎重な事業運営を迫られている。
Benchmarkは北京を訪問し、Manus創業者や地元VCの真格基金を含む複数の投資先企業と面会。米国では中国AI、半導体、量子計算分野への投資に対する規制が強化される中、Manusの資金調達が報告義務対象となるかは現時点で不透明だ。既に紅杉キャピタルやGGVなどは中国部門の分離を進めており、米国VCによる対中投資には慎重さが求められている。
現在、Manusはグローバル人材採用を強化しており、米国市場だけでなく、日本の東京にもオフィスを設置する計画を進めている。これにより、アジア市場における存在感を高め、グローバル展開を加速させる方針だ。