中国初の大規模AIモデルIPOへ──Zhipu(智譜)が北京証券取引所上場準備

出典:https://mp.weixin.qq.com/s/WY3FTrz_DTDMwAzfJ84Xew

概要ポイント
  • Zhipu(智譜)が北京証券取引所に上場申請、AI大規模モデル初のIPOへ。
  • 設立6年で19回の資金調達、評価額30億ドル(約4500億円)に到達。
  • 推理型大規模AIモデルを軸に多様なAIGCサービスを展開。
  • 商用収益が急成長、特に自動車・金融領域に浸透。
  • 公平な株主構成と強力な資本支援がIPO実現を後押し。
本文

中国AI大規模モデル業界において、Zhipu(智譜)が業界初のIPOに挑もうとしている。2019年に設立された同社は、設立以来19回にわたる資金調達を実施し、現在の評価額は30億ドル(約4500億円)に達している。資本市場で注目を集める背景には、推理型大規模AIモデルという戦略的な選択がある。推理型は、パラメータ調整の負担が少なく、低コストで実装できるため、2025年において市場の関心を集めた分野だ。


Zhipu(智譜)はGLM-130Bをはじめとする大規模モデル群を開発し、ChatGLMやCodeGeeXなど多様なAIGCサービスを展開してきた。商用化の面でも成果を上げており、特に自動車業界や金融業界で大規模AIモデル技術の活用が進んでいる。2024年にはMaaSプラットフォームのAPI収入が前年比30倍に急増し、年間収入は約3億元(約63億円)に達したものの、研究開発費による20億元(約420億円)規模の赤字も課題として残る。


資本面では、中科創星、清華大学資管、達晨財智、君聯資本、螞蟻集団、高瓴資本、騰訊、紅杉中国など、名だたるVC/PEや産業資本が出資者に名を連ねる。創業者の唐杰・劉徳兵による36.96%の議決権確保と、無支配株主体制がバランスの取れた経営を可能にしており、これが資本側からも高く評価されている。


また、Zhipu(智譜)は最近、32B/9BシリーズのGLM推理モデルをオープンソースで公開し、コスト削減と開発者支援を強化。価格は競合DeepSeek-R1の約30分の1とし、開発コミュニティへの影響力を拡大している。これらの施策を背景に、Zhipu(智譜)は2025年4月、北京証券取引所に正式な上場準備の申請を行った。資金調達ルートを二次市場に拡大することで、成長の加速と投資家へのリターン実現を目指している。


Zhipu(智譜)の北京証券取引所上場が実現すれば、中国AI大規模モデル産業における資本市場進出の道を切り開く象徴的な事例となる可能性が高い。