世界最大級のコンピュータグラフィックス国際会議「SIGGRAPH 2025」が、カナダ・バンクーバーで8月に開催されるに先立ち、最優秀論文賞と時間検証賞の受賞結果が発表された。投稿件数は過去最高の970件以上に達し、そのうち306件が採択された。
最優秀論文賞には5本が選ばれ、中国からは清華大学(Tsinghua University)、厦門大学(Xiamen University)、上海科技大学(ShanghaiTech University)の研究者が関わるチームがそれぞれ受賞。上海科技大学らによる「CAST」は、単一のRGB画像から高精度な3Dシーンを再構築する新技術で、遮蔽処理や物体位置の整合性を高精度に再現可能とされる。厦門大学と清華大学の徐峰(Feng Xu)、郭士輝(Shihui Guo)らが関わる「Transformer IMU Calibrator」は、動的IMUキャリブレーションにおいて絶対静止の前提を取り払った点が革新的とされた。
一方、時間検証賞(Test-of-Time Award)は、2013〜2015年に発表された論文から10年経てもなお影響力を持ち続ける研究に贈られるもので、今年は4本が選出された。その中には、北京大学(Peking University)の陳宝権(Baoquan Chen)教授が共著した「L1-Medial Skeleton of Point Cloud」も含まれ、約10年にわたり点群データにおける骨格抽出技術の発展に大きく貢献したと評価された。同論文は、深圳大学(Shenzhen University)の黄惠(Hui Huang)教授らとの共同研究による成果である。
このほか、トロント大学×Meta×MITによる「Shape Space Spectra」、Google DeepMindらの「TokenVerse」や「Vector-Valued Monte Carlo Integration」なども最優秀論文に名を連ねており、生成AI技術やシミュレーション手法における新潮流が強く反映された構成となった。