明略科技(Mininglamp)は中国最大級のデータインテリジェンスソフト企業であり、テンセントや快手、紅杉中国などの出資を受けたAIユニコーン企業として、香港上場を目指している。創業は2005年、北京大学でAIを研究していた呉明輝が中心となり設立され、広告・小売・金融など多業種に対応するAIソリューションを展開してきた。
主力製品「秒針システム」は、広告投資最適化やSNS運用支援を行うマーケティングAIであり、売上全体の過半を占める。他にも「小明助手」などの大規模言語モデル(LLM)活用ツールや、業種特化のAIソリューションを展開。P&Gやマクドナルド、スターバックスなど、135社を超えるフォーチュン500企業を顧客に持つ。
直近3年間の売上はそれぞれ12.69億元(約241億円)、14.62億元(約278億円)、13.81億元(約263億円)で推移しており、毛利率は50%を超える。研究開発への投資も大きく、2022年には7.51億元(約143億円)を費やし、2024年も3.53億元(約67億円)を投じた。2024年末時点で現金保有額は約4億元(約76億円)に達し、堅調な事業運営を示している。
市場環境も明略科技に追い風だ。中国ではマルチモーダルデータの増加や生成AIの進化、政府の政策支援により、データインテリジェンス市場の年平均成長率は18.7%と見込まれている。2028年までに市場規模は713億元(約1兆3,547億円)に達する見通しだ。
創業者の呉明輝は「データは金鉱、モデルは商品」と語り、AGI時代におけるデータ価値と産業適応の重要性を強調している。業界特化データとマルチモーダル統合に基づくAI戦略は、明略科技が中国のAI企業として今後も注目される理由となっている。