中国のGPUスタートアップVastai Technologies(瀚博半導体)が、A株市場への上場に向けたIPO準備を開始した。指導機関には中信証券が指名されており、2025年10〜11月に成果検証が予定されている。
2018年設立の同社は、AMDで7nm GPU開発を牽引した錢軍(Qian Jun)と張磊(Louis Zhang)によって創業された。SV102、SG100といった自社開発GPUチップを核に、VUCAアーキテクチャによる統合計算基盤を構築。AI推論、グラフィック処理、ストリーミングの3分野をカバーしている。
製品群には「南禺シリーズ」データセンター向けGPUカードや「載天シリーズ」AI加速カードがあり、エッジ計算領域にも展開。従業員の約80%がR&D所属で、修士以上の学位保持者が多数を占める。
出資元にはKuaishou(快手)、アリババ、メディアテック(聯発科)などが並び、累計調達額は数十億元(数百億円)。2025年の胡潤ユニコーンランキングでは評価額105億元(約2,300億円)とされている。
同分野ではEnflame Technology(燧原科技)、Biren Technology(壁仞科技)、Moore Threads(摩爾線程)、MetaX Integrated Circuits(沐曦株式)などの国産GPU企業が相次いでIPOを進行中。中でもMoore ThreadsとMetaX Integrated Circuitsは、2025年7月に科創板IPOで問詢段階に進んだ。Vastai Technologies(瀚博半導体)の上場は、中国におけるAIインフラ国産化の象徴となりうる。