アリババ、92言語対応の機械翻訳モデル「Qwen-MT」を発表──軽量・高速・高精度の実務向け設計

出典:https://mp.weixin.qq.com/s/2LQIrsaBgXcxw76BYshfdw

Qwen-MT model
概要ポイント
  • Qwen3をベースにしたアリババの最新機械翻訳モデル
  • 92言語対応で世界人口の95%をカバー
  • MoE構造により高性能・低遅延・低コストを実現
  • 用語指定・スタイル制御・翻訳記憶など高度な調整が可能
  • 多言語の自動評価・人手評価でGPT-4.1-mini等を上回る精度を確認
本文

アリババは、自社の大規模言語モデルQwenシリーズの新たな翻訳モデル「Qwen-MT」を発表した。Qwen3をベースに多言語・翻訳データで追加学習されており、92言語間の高精度な相互翻訳に対応。世界人口の約95%をカバーする言語範囲を誇る。


モデルはMoE(Mixture of Experts)アーキテクチャを採用しており、軽量設計ながら優れた性能を発揮。APIの応答速度も高速で、1Mトークンあたり2元(約40円)という低コストを実現し、リアルタイム性が求められる高負荷環境にも適している。


評価面では、WMT24や中英・英独翻訳などの多領域タスクで、GPT-4.1-miniやGemini-2.5-Flash、Qwen3-8Bなどの同等規模モデルを上回る性能を示した。さらに、英語、日本語、フランス語、アラビア語など10以上の言語に対し、プロ翻訳者3名による人手評価でも高い合格率と優良率が確認されている。


実用性の点でもQwen-MTは実務ニーズを重視。専門用語の翻訳指定、スタイル制御、翻訳記憶(TM)などをサポートし、法律文書や技術資料からカジュアルなSNS翻訳まで、用途に応じた出力調整が可能。ユーザーが自然言語で翻訳の文体や業界を指定することもでき、柔軟な適応力を持つ。


API経由で簡単に導入でき、Pythonコードを使って数行で翻訳が実行可能。既に提供されているサンプルでは、日常表現から文学、ゲーム、古典中国語まで幅広い文脈で自然かつ正確な翻訳が確認されている。Qwenチームは今後もさらなる精度向上と対応言語の拡張に取り組む方針を示しており、「信・達・雅」の翻訳理想に向けた継続的な技術進化が期待される。